人生を振り返って「語る」ことで、自分自身の人生を書き換える

今回は、マーク・L・サビカスの本「ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル」から自分自身の人生を書き換えるヒントを紹介します。

「失敗談」を「成功談」に書き換えることができます!

目次

ナラティブ・アプローチとは?

「ナラティブ」とは物語・ストーリーのことです。自分の人生を振り返って語ることで、未来のストーリーを自分で作り上げていくことができます。

ナラティブアプローチとは、人が自分の経験や出来事をどのように語っているのかに注目し、その語りを通して物事の捉え方を見直していく考え方です。 例えば、「自分は失敗ばかりする人間だ」と感じている人に対して、これまでの経験や乗り越えてきた出来事を一緒に振り返り、別の見方ができないかを考えていきます。 問題をすぐに解決することよりも、自分の物語を整理し、新しい意味や前向きな理解を見つけていく方法です。

このアプローチでは今後の人生や未来のキャリアについて「助言」をするのではなく、自分自身で「振り返って」「語る」ことにより、自分自身で「再発見」するところに醍醐味があります。

人生を振り返るフレームワーク「5つの質問」

サビカスが提唱した「5つの質問(ライフテーマ・インタビュー)」は、自分がこれまでどんな生き方をしてきたのかを振り返り、自分らしい将来の進路(キャリア)を見つけるためのカウンセリング技法です。それぞれの質問の意味と、5つの質問がどのように組み合わさっているのか(関係性)をわかりやすく解説します。

①尊敬する人物(ロールモデル)

親以外で小さいころあこがれていた人物(3名)とその理由(それぞれ3つずつ)を質問します。この質問で、自分の「理想の自分像」や「大切にしたい価値観」を発見できます。その人物のどこに惹かれたかの中に、自分が目指したい姿が隠れています。

②好きな雑誌・テレビ番組・Webサイトなど

普段よく読む雑誌や、定期的にチェックする番組・サイトを質問します。この質問で、自分の「興味・関心が向く環境(働く環境)」がわかります。どんな世界観や雰囲気に心地よさを感じるかがわかります。

③お気に入りの本や映画(ストーリー)

大好きな本や映画、ドラマのストーリーを質問します。この質問で、自分の「人生の台本(生き方の方針)」がわかります。主人公がどのように悩みを克服したかというストーリーは、自分が人生の難局をどう乗り越えようとするかのパターンを表します。

④好きな名言・格言(モットー)

大切にしている言葉、座右の銘、好きな歌の歌詞などを質問します。この質問で、自分への「アドバイス・行動指針」がわかります。自分が壁にぶつかったときに、自分自身をどう励まし、次の一歩を踏み出すかが表れます。

⑤一番古い記憶(早期回想)

覚えている中で、最も古い子どもの頃の思い出(3〜6歳頃)を質問します。この質問で、自分の「人生の根本的な関心ごと(ライフテーマ)」がわかります。その記憶で感じた感情や直面した問題が、現在の自分の「解くべき課題」の原点になっています。

この5つの質問はバラバラに存在しているのではなく、1つの大きな「自分探しのストーリー」としてつながっています。

関係性を一言で表すと、以下のようになります。

「⑤人生のテーマ(課題)」に向き合うために、
「①理想の自分」を目指しながら、
「②自分に合った環境」に身を置き、
「③乗り越えるストーリー」を描き、
「④行動指針」に従って未来へ進む。

このように、5つの質問の答えを掛け合わせることで、「自分はどんな課題(⑤)を抱え、どんな理想(①)に向かって、どの環境(②)で、どう壁を乗り越え(③)、どんな言葉(④)を胸に生きていきたいのか」という、あなただけの「人生やキャリアの物語」が浮かび上がってくるしくみになっています。

活用のヒント

まずはじっくり話を聴く(傾聴)

仕事の悩みに直接触れる前に、リラックスした状態で「5つの質問」に答えてもらいます。「仕事と関係なさそうな質問」だからこそ、本音や潜在的な価値観が出やすくなります。

言語化されたストーリーと現在の悩みの紐づけ

回答を一緒に振り返りながら、共通するキーワードやテーマを見つけ出します。「①尊敬する人物」と「③お気に入りの物語」の両方に『仲間と共に困難を乗り越える』という共通点がないか?とか、「⑤初期の記憶」で感じた葛藤が、今の仕事での悩みと重なっていないか?など、繰り返し語られることや強調されている言葉にそのヒントが隠れています。

そのあと「なぜ今悩んでいるのか」を自分の⑤ライフ・テーマに照らし合わせて自らの気づきを促します。その際こちらから決めつけてはいけません。

主体的アクションの導出

「④格言・モットー」などを活用し、「自分のストーリーの次の章」をどう書き換えるかを一緒に考えます。

答えそのものではなく、「なぜそれを選んだのか」「どういう部分に惹かれるのか」という理由に耳を傾けることが重要です。「あなたのテーマは〇〇ですね」と決めつけるのではなく、「〇〇という共通点が見えますが、ご自身ではどう感じますか?」と対話を通じて本人に気づいてもらいます。「会社にとってどう役立つか」ではなく、「その人個人の生き方(人生の物語)」に焦点を当てることで、結果的に主体的なキャリア開発につながります。

「悩み」そのものを問題解決するのではなく、もっと大きな視点(ライフストーリー)に焦点を当てて、未来を自分の力で書き換える支援なのです!

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